障害者 & 難病患者 tomoのブログ【ともに きなりに】

難病 ギラン・バレー症候群を患い、障害者になったtomoが『障害は「障害」じゃない。ありのままの自分で、思いのままに生きよう。』をコンセプトに日々を綴るブログです。自身の大病経験と、元企業人事→→現在社会保険労務士を目指している経験から、「ある日突然、大病を患った方およびそのご家族」のお役に立つ情報等も書いていきたいと思います。

傷病手当金 申請マニュアル。これさえ読めば、自分でラクラク失敗しらずの申請ができます☆(突然大病を患ったら… その2)

f:id:tomoecru:20160727181922j:plain

こんにちは。障害者で社労士のタマゴの、tomoです。
 
前回に引き続き、傷病手当金について解説を続けます。
前回記事をお読み頂いた方は、「傷病手当金って、健康保険の制度だからといって、病気や怪我で治療を受けていれば自動的に支給されるわけじゃないんだ。ちゃんと自分で手続きをしないともらえないんだ」…という事はご理解いただいたと思います。
 
※ 前回記事をまだ読まれていない方は、そちら↓↓を先にご覧ください。
 
会社にお勤めの方の強い味方である傷病手当金も、知らなければ役に立ちません。
知らずに損をすることがないように、前回と合わせてしっかりポイントを掴んでくださいね。
 
傷病手当金に関する後半にあたる今日は、3) 支給される金額と期間、そして 4) 申請にあたって気をつけるべきポイントについてご説明します。
 
 
では早速、傷病手当金として、どれくらいの額が、どれくらいの期間支給されるのかについてお話したいと思います。
 
傷病手当金は、ざっくり言うとお給料の約2/3 の金額が支給されます。
とはいっても残業等次第で毎月のお給料は常に一定とは限りません。
 
そこで、「標準報酬月額」といって、給与金額を50等級に振り分けたものを適用して傷病手当金は計算されています。傷病手当金として受け取れる金額は、1日あたりで計算されます。そのため、標準報酬月額を30で割って計算する「標準報酬日額」を基準とし、その2/3の額が1日あたりの支給額となります。
 
 
上記のリンクは、標準報酬月額の等級一覧と、その等級に基づく傷病手当金の1日当たりの支給額をまとめたものです。(参照元: 全国健康保険協会
 
ちなみに傷病手当金は非課税扱いとなります。支給された金額から税金が引かれることがないというのは、とても嬉しいポイントですね!
 
では、1日あたりで計算される傷病手当金ですが、どれくらいの期間受け取ることができるのでしょうか。
 
傷病手当金は、同一の病気・怪我について、支給開始日から起算して最長1年6ヶ月の間、受け取ることができます。(ただし支給要件から外れた場合、1年6ヶ月の経過を待たずに支給が打ち切られることもあります。注意が必要です。)
 
大切なポイントは、起算日が支給開始日というところです。
例えば、有給休暇を先に使ってから傷病手当金請求に切り替えた場合、有給が終わるまで障害手当金は支払われていない状態です。よって、有給休暇が終了し傷病手当金の支給が始まった日よりカウントして最長1年6ヶ月まで支給を受けることができます。
 

f:id:tomoecru:20160730232415j:plain

最後に、申請にあたって気をつけるべきポイントについてお話ししたいと思います。せっかく申請するのなら、傷病手当金はもれなく受け取りたいですよね。ぜひ以下の説明を参考にしていただきつつ、申請手続きを進めてみてください。
 
■ 申請期間について
昨日も少し触れましたが、傷病手当金には申請期間という考え方があります。
これは平たく言うと、傷病手当金を申請したい期間の最終日(あるいはお給料の締め日)が終わってから医師および事業主に証明を依頼しましょう、ということです。
 
申請期間が過ぎる前に証明の記載をしてもらうと、見込みでの記入となり有効な証明として取り扱われないケースがあります。傷病手当金は事実に基づいて支給されるものですので、必ず申請期間が経過した後に証明をもらうようにしてくださいね。
 
なお、傷病手当金は上述の通り、事後申請となります。
申請が可能なのは、2年以内の場合のみです。逆に言うと、申請期間経過後はすぐに申請しなくとも一定の有効期限があるということになりますし、まとめて数カ月分の申請をすることも可能です。とはいえ、入院費や治療等でそれなりのお金も出ますし、生活費の確保も必要になりますので、通常は1ヶ月ごと(給与の締切日ごと)に申請するのが一般的です。
 
申請内容の審査を経て傷病手当金は支給されますので、申請から支給開始までは約1ヶ月程度かかります。書類に不備があると、さらに支給まで時間がかかるケースもあります。
また、傷病手当金は1日単位での支給となるため、時効も1日ずつやってきます。
 
療養中はどんな思いがけない出費等があるかもしれません。支給までに要する期間と時効のことを考えると、傷病手当金はまとめて一括で請求するのではなく、コンスタントにこまめに申請する方が断然おすすめです。
 
■ 3日間の連続した待期について
傷病手当金が支給対象となるために、必ず必要となるのが「3日間の連続した待期」です。これは、会社を休んだ日が、連続して3日間なければ傷病手当金は成立しないという考え方です。
 
連続して2日間会社を休んだ後、3日目に仕事を行った場合には、待期は2日間ですので傷病手当金は成立しません。逆に3日間連続で仕事を休めば良いので、仕事を休んだ日が公休日であっても、有給休暇であっても、「3日間の連続した待期」は完成します。
また「3日間の連続した待期」が完成した後に出勤した日があったとしても、同一の傷病(病気や怪我)の場合は、追加での待期は不要です。(ただし、もちろん出勤した日は傷病手当金対象日はなりませんので、ご注意を。)
 
全国健康保険協会のホームページにわかりやすい図解がありますので、引用してご紹介いたしますね。(出典: 全国健康保険協会) 

f:id:tomoecru:20160731004746j:plain 

■ 併給の調整について
傷病手当金を受けることができる期間に、給与の全部または一部の支払いがあった場合、出産手当金の支給がある場合については、原則として傷病手当金は支給されません。また、障害厚生年金の支給を受けることができる際も、原則として傷病手当金は支給されません。
ただしいずれの場合も、1日あたりの支給額が傷病手当金の額よりも少ない時は、その差額が傷病手当金として支払われます。
 
■ 退職後の傷病手当金支給について
tomoの場合もそうだったのですが、病気や怪我のために、退職せざるを得なくなった…という方もいらっしゃるでしょう。その場合、一定の条件を満たせば、仕事を辞めることになった場合でも在職中にもらっていた傷病手当金をもらい続けることができます
 
退職後も傷病手当金をもらい続けられる一定の条件とは、以下の通りです。
 
 ✔︎ 退職以前からすでに傷病手当金の支給条件を満たしている
 ✔︎ 健康保険に1年以上加入している
 ✔︎ 退職日も会社を休んでいる
 ✔︎ 退職後も、任意継続被保険者として、同じ健康保険に加入し続けている
 
つまり、退職日当日に挨拶まわりなどで出勤をしてしまうと条件から外れて傷病手当金がもらえなくなってしまうので要注意です。
なお、「退職以前からすでに傷病手当金の支給条件を満たしている」ということは、実際に支給を受けているケースはもちろん、有給休暇を使用していたり、療養のために休んでいる間も会社からお給料をもらっていたりするために(支給条件は満たしているが)傷病手当金の支給は受けていないというケースも、もちろん該当しているため、退職後も傷病手当金の支給を受けることができます。
 
ちなみに任意継続被保険者になると、毎月の健康保険料が二倍になります。これは、今まで会社と自分とで折半して半分ずつ支払っていた保険料を、今後は全額自己負担することになるためです。しかし、大概の場合は、二倍の金額になった健康保険料よりも貰える傷病手当金の額の方が大きくなると思います。退職後も傷病手当金をもらい続けたい方は、(傷病手当金がもらえる期間内だけでも)任意継続被保険者になることを検討されると良いと思います。
 
なお、退職後に傷病手当金をもらい続けている方に注意して頂きたいことがあります。
 
それは、失業手当(=雇用保険の基本手当)を受給すると、傷病手当金の支給はストップしてしまう、ということです。傷病手当金を受けられるのは「働くことができない人」であるのに対して、雇用保険の基本手当(失業手当)は「働くことができる(働く意思と能力がある)が、失業している人」に支給されるものであるため、失業手当をもらってしまうと、傷病手当金の対象とはみなされなくなってしまうためです。
 
なかには、傷病手当金をもらうことができる1年6ヶ月よりも、失業手当がもらえる期間の方が短いというケースも十分あり得ます。そんな時は、失業手当の項目で詳しく説明する、失業手当の受給期間延長申請を行って不利にならないように対策をしておいてくださいね。
 
 
 
…というわけで、2日にわたって解説した傷病手当金についてはこれにておしまいです。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
 
引き続き、「突然大病を患ったら…」シリーズの傷病手当金以外について読まれる方は、こちらのリンク↓↓をご覧下さい。
 
 
傷病手当金の前半・後半をお読み頂き、更なる疑問・具体的なご相談がある場合は「コメントを書く」ボタンを押して、ご遠慮なくお尋ねください。
 
元人事で、社労士(社会保険労務士)のタマゴであるtomoが、一生懸命お答えします。
皆さんのご質問にお答えすることは、私にとっても非常に勉強になるので、安心してお問い合わせくださいね。
 
それでは、今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またブログでお会いできることを楽しみにしています♪
 
 
tomo
 
 
↓↓ tomoブログ【ともに きなりに】の読者になる