障害者 & 難病患者 tomoのブログ【ともに きなりに】

難病 ギラン・バレー症候群を患い、障害者になったtomoが『障害は「障害」じゃない。ありのままの自分で、思いのままに生きよう。』をコンセプトに日々を綴るブログです。自身の大病経験と、元企業人事→→現在社会保険労務士を目指している経験から、「ある日突然、大病を患った方およびそのご家族」のお役に立つ情報等も書いていきたいと思います。

高額療養費は一体いくらもらえるの(戻るの)?高額療養費の支給額と、思わぬ落とし穴についてご説明します!(突然大病を患ったら… その4)

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こんにちは。障害者で社労士タマゴの、tomoです。
 
では早速、前回に続いて高額療養費について解説を続けましょう!
 
昨日の記事では、下記について説明をしました。
「高額療養費とは、どんな仕組みで、なににかかった費用が支給対象になるのか」
「高額療養費は、どんな方法で給付されるのか」
 
今日は、より詳しく具体的に、下記について説明したいと思います。
実際に、どれくらいの自己負担限度額になるのか(=どのくらい自己負担すれば、後は高額療養費でカバーされるのか)」
「高額療養費の給付を受けるにあたっての注意点・重要ポイント
 
※ 前回記事をまだ読まれていない方は、こちら↓↓を先にご覧ください。
 
 
具体的にお話しした方がわかりやすいと思いますので、昨日の記事にも出てきた、tomoがギラン・バレー症候群で入院した月の実例をあげながら話を進めて参ります。
 
400万円近い請求書に対して、夫のKeiくんが病院の窓口で支払ったのが約13万円。
これはなぜだったのでしょうか。
 
13万円の内訳は、自己負担限度額が11万円強。そして残りのおよそ2万円が、入院中の食事代等の諸費用だったのです。(食事代等は、高額療養費制度の支給対象にならないということ、昨日お伝えしましたよね?)
 
この計算の根拠となるのが、下記の表です。 

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例えば、標準報酬月額(傷病手当金の解説記事を参照ください☆)が28万円以上53万円未満の人が入院した際にかかった医療費が100万円だったとします。健康保険に入っている場合は3割負担となるので、窓口で本来支払う金額は、100万円の3割で、30万円となりますね。これを計算式に当てはめると‥
 
80,100円+(300,000円ー267,000円)×100分の1=87,430円
 
となります。つまり、高額療養費算定基準額である、87,430円が自己負担限度額ということになります。30万円から、87,430円を引いた、212,570円が高額療養費として支給されることになります。
 
100万円の医療費で、自己負担が9万円弱。400万円近い医療費で、自己負担が約13万円。
高額療養制度は、まさに困った時の頼みの綱だと言えます。
健康保険に加入していてよかった…と、つくづく実感しました。
 
 
ということで、高額療養費制度について、おおむねご説明が終わりました。
最後に、高額療養費の支給を受ける上で、気を付けるべき重要なポイントを幾つかお話したいと思います。
 
1) 同一人の同一月、同一の病院限定の原則
これは、高額療養費の支給を受ける上で大切な考え方です。
高額療養費は、レセプトと呼ばれる診療報酬明細書に基づいて計算されます。それに伴い、以下のような原則に基づいて高額療養費が支給決定されます。
 
同一人の → レセプトは個人別に作成されます。そのため、tomoとKeiくんを合算することはできません。あくまでも一人あたりの計算です。
 
同一月 → レセプトが毎月1日〜月末までの1ヶ月単位で作成されるため、高額療養費も暦月ごとに適用可否を審査した上で支給されます。
 
一つの例ですが、例えば同じ日数入院して同じ金額の医療費がかかったとしても、一つの暦月で入院〜退院に至った場合と、入院〜退院が2ヶ月に渡って行われた場合とでは、全く異なる結果になるケースがあります。
つまり、同じ暦月内に収まる入院のケースでは、かかった医療費が算定基準額を超えたために高額療養費制度の支給対象となるけれど、月を跨いだ入院のケースは、レセプトが2枚に分かれたために、1ヶ月あたりの算定基準額に満たず、高額療養費の対象とならなかった…ということも十分あり得るのです。
 
せっかく同じ期間・同じ費用がかかるのならば、高額療養費制度の対象となるように、事前に主治医と相談して入院日を調整できる場合はしたいものですよね。
 
同一の病院 → 基本的にレセプトは医療機関ごとに作成されます。つまり、一つの病院で算定基準額を超える必要があるということです。しかし、「歯科診療と歯科診療以外」、「入院と外来(通院)」は、レセプトが別々に作成されますので、一つの病院とはみなされません。
 
…こうして改めて見てみると、非常に有難い高額療養費制度ですが、ちょっとした違い(コツ)で適用となったり、対象外となる可能性があることをご理解いただけると思います。
 
かかっている医療費は変わらないのに、なんだかモヤモヤしますが、ちょっとした救済措置も用意されています。
 
2) 合算支給という例外措置(救済措置)
被保険者とその扶養者は別々の個人なので、当然レセプトは別々に作成されます。
でも、結局は同じ家計から医療費が出て行っているわけで、その辺りの負担軽減のためにある措置が、「世帯合算による支給」です。
 
「同一の月における、同一人・同一の病院等」の医療費(レセプトの金額)が21,000円を超えるものが複数ある場合、それらを合算した金額が高額療養費算定基準額を超える時はその超過分が高額療養費として支給されます。
 
※ただし、合算出来るのはあくまでも被保険者とその被扶養者のみです。共働き夫婦で、夫も妻も共に被保険者である場合は、夫婦間を同一の世帯として合算することはできません。
 
3) 多数回該当という負担軽減措置
同一の世帯で高額療養費が支給されている回数が、直近12ヶ月以内に3回以上ある場合は、4回目から、算定基準額がさらにググッと下がります。長期間の入院や療養を続ける必要がある人にとっては、とても嬉しい配慮ですよね。
詳しい自己負担限度額は、下記の表を参考にご覧ください。

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4) 長期高額特定疾病患者の負担軽減措置
人工透析を実施している人、血友病の一部患者、HIV感染者等の後天性免疫不全症候群の人などの、費用が高く著しく高額となる治療を長期間に渡って継続しなければならない人については、さらに自己負担が低く抑える措置が取られます。なんと、窓口での自己負担10,000円で療養することができるのです!
 
 
自己負担を軽減するこれらの救済措置・自己負担軽減への配慮は、とっても助かりますね。
さらに70歳以上の高齢者の高額療養費については、さらなる自己負担軽減措置が用意されています。
 
…というわけで、少々ややこしい説明になった部分もありましたが、高額療養費の解説は以上です。最後までお付合い頂きありがとうございました。 
 
ある日突然、原因不明の難病にかかり緊急入院となったtomoですが、本当に高額療養費に命もお財布も救われました。
 
これを読んで頂いている方で、同じようにご自身やご家族が重い病気やケガ等で高額な医療費を心配している方。どうぞ安心をして、治療に臨んでくださいね。
もし、お読みになられて質問やお問い合わせがある場合は、どうぞ遠慮なく「コメントを書く」ボタンより、ご連絡をください。元人事で、社会保険労務士のタマゴでもあるtomoが、一生懸命お答えしたいと思います。
 
また、「突然大病を患ったら…」シリーズの高額療養費以外の医療費助成等について読まれる方は、こちらのリンク↓↓をご覧下さい。
 
 
それでは、今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またブログでお会いできることを楽しみにしています♪
 
 
tomo
 
 
 
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