休職中の社会保険料と税金。仕事・会社を休んでいても自己負担の必要があるのは何?休職中の厚生年金保険・健康保険・雇用保険・労災保険・所得税・住民税について解説します(突然大病を患ったら… その21)
こんにちは。障害者で社労士タマゴの、tomoです。
ある日突然、思いもしない病に倒れたり、事故にあって大怪我をしたら…。
誰だって、不安になりますよね。
病気やケガそのものがこれからどうなっていくのか…はもちろん心配です。
でも、それと同じくらい(場合によってはそれ以上に?)不安になるのがお金にまつわることではないでしょうか。
ここ最近はパラリンピック関連の記事を書いてきましたが、ぜひとも記事にしたいことがあったので、タイトルの内容で記事を書きたいと思います。
tomo ブログ【ともに きなりに】では、自分自身が思いもしない難病にかかり、急に倒れて会社を休むことになった経験から、必要だった社会保険(健康保険・障害者年金等)の制度について記事にしてきました。
それは、突然病気にかかり、色々と不安が尽きなかった時。
患者であるtomo 自身にとってもそうでしたが、何よりも旦那さんであるKeiくんにとっても、それらの補助や助成を知ることで、心配で心配でたまらなかった気持ちが軽くなったと言います。
急な大病や大きな怪我で入院・通院などをしなければいけなくなった場合は、患者本人だけでなく、それを支える家族にとっても「これから(色々な意味で)どうなっちゃうんだろう…」とストレスを抱えるものなんだ…と、自分の経験から深く実感しました。
さて、その一連の記事をまとめたのが↓↓になりますが、
tomo のブログを読んでくださっている読者の方と「突然大病を患ったら…」の記事に関連して質問があり、会社を休んでいる間に給与から引かれる社会保険関連の費用や税金に関してのやりとりがありました。
確かに、同じ疑問を持つ方も多そうですし、一度きちんと記事にまとめておいたほうがいいなと思いました。…ので、下記の項目についてまとめます。
1) 給与から源泉徴収される控除項目とは
会社に勤めていると、定期的に給与明細をもらうケースが一般的だと思います。
毎月じっくり見る人も、とりあえず手取り金額だけサラッとチェックする人もいると思いますが、そこに細かく記載されている控除項目の一つひとつ。何に対して、どれくらいの割合で、誰が負担しているのか…。意外と気にせず過ごしている人も多いのではないでしょうか。
上記のうち、病気やケガで会社・仕事を休まなければいけなくなった時に、引き続き自己負担する必要があるものと、休職中は払う必要がないものとがあります。
また、労災保険はもともと全額会社が負担してくれているものですので、休職・休業中であっても自己負担が発生することはありません。
2) 休職期間中の社会保険料と税金
それぞれの控除項目について補足をしていきますので、目を通してみてくださいね。
✔︎ 厚生年金保険料
休職中であっても、会社に在籍していることに変わりはありませんので、給与の支払いがあってもなくても、厚生年金保険料は支払う必要があります。
なお厚生年金保険料は、会社と社員がそれぞれ半分ずつ負担をすることになっています。会社員個人の負担分をあらかじめ給与から差し引いて、会社が負担する分と合算した額が納付されています。
これが、病気や怪我などで休職することになり、給与が支払われなくなった場合。
元の給与がなくなったので、本人負担分を天引きすることができません。その場合は、
1) 一旦会社が本人負担分を立て替えておき、復職時にまとめて請求されるパターン
2) 毎月会社に対して、会社員本人から自己負担分を支払うパターン
が考えられます。
各会社によって対応方法が異なりますので、休職することになった場合は、お勤め先の会社の人事総務部門とも相談をなさってみてくださいね。ただしいずれにせよ、本人負担分が免除になることは(残念ながら)ありません。
✔︎ 健康保険料
健康保険は、天引き控除される項目の中で、最も身近なものかもしれません。
普段のちょっとした通院でも医療費が3割負担で済む、ありがたい制度です。そして、大病や大きな怪我をした時に、もっとも威力を発揮するのが、健康保険の傷病手当金です。(傷病手当金はこちらの記事で、詳しくご説明しています)
健康保険料は標準報酬月額に保険料率をかけたものとなります。この標準報酬月額とは通常4、5、6月の報酬より1年間の標準報酬月額が決められます。(標準報酬月額は基本給だけでなく残業代等も含めた額になります。そのため、この3ヶ月間に残業しすぎると、その分、次に適用される健康保険料が高めに設定されてしまう可能性があります。ご注意を!!)
健康保険料は、仕事・会社を休んでいても、健康保険の被保険者という身分がなくなるわけではないので、勤務している時と同じ額を払い続ける必要があります。
健康保険料は、決して少ない額ではありません。
もしこれが、休職ではなく退職になった場合は、同額の傷病手当金をもらい続けるためには、健康保険の任意継続をしなければなりません。任意継続の場合は、会社が払ってくれていた額も含めて全額自己負担(つまりこれまで負担していた額の2倍!)となります。
そう考えると、休職中の健康保険料は、決して高くないな…と、tomo は思います。
✔︎ 介護保険料
40歳以上になると、介護保険の被保険者となり保険料が徴収されます。
✔︎ 雇用保険料
労働者の生活と雇用の安定のために政府が行っている保険制度です。
雇用保険の保険料率は、平成28年度は1000分の4(一般事業・被保険者負担率)です。
雇用保険料は、給与・賞与が支給される度に発生します。つまり、休職期間中に給与・賞与が発生しない限りは、そもそも雇用保険料が発生しないため、負担する必要はありません。(負担金額ゼロでも、雇用保険の被保険者である資格は喪失しません)
✔︎ 所得税・復興特別所得税
所得税は、1月から12月の1年間の所得に対して税金がかかります。その年ごとの所得に対してかかるものなので、正確な税額が決まるのは12月の給与・賞与が確定した後になります。それまでは、あらかじめ予想される税額を予測算定し、給与や賞与から差し引いて納めます(=源泉徴収方式での納税)。
12月の給与・賞与が確定した後には、「年末調整」をして、正しい納税額を確定・精算(税金の還付もしくは追徴)します。
東日本大震災復興のための施策を実施するにあたり、必要な財源を確保するための特別措置法が公布され、創設されました。
✔︎ 住民税
所得税はその年(1月から12月)の所得に対して、その年に納税します。それに対して、住民税は所得税とは違い、所得税確定後、その情報を元に住民税が計算され、翌年の6月から翌年5月まで新しい税額で納税します。つまり今引かれている住民税は、前年の所得に対してかかっている税金ということになります。住民税の税率は、一律10%となります。
住民税は、前年分の所得に対して時間差で納税するものです。そのため、休職していて給与・賞与の発生がなくとも、負担をする必要があります。
以上、各控除項目について、解説させていただきました。
でも、まぁ。考え方によっては、自分が会社を休んで仕事をしていない間も、会社が従業員である自分のために半分を負担してくれている…と思えば、自己負担分はやむをえないかな、という気になるかもしれません。それに、傷病手当金(や、場合によっては障害年金)などで、休職中に実際に自分自身が支給を受ける元となるものでもありますしね…☆
ちなみに。
上記では触れてこなかった社会保険が、実はもう一つだけあります。
それが、労災保険です。労災保険は、業務上の事由もしくは通勤による労働災害(労災)が起こった際に、労働者を保護・補償するためのものです。労災保険はもともと労働者に負担義務はなく、全額会社負担のものですので、ご安心ください。休職中であっても、もちろん負担する必要はありません。
業務に起因しない病気や怪我で休職することになった場合は、健康保険から傷病手当金が生活補償を目的として支給されます。同様に、業務に起因する病気や怪我で休職する場合は、労災保険より休業補償給付が支給されます。
…という事で。
本日は、病気や怪我で会社(仕事)を「休んでいる」ケースについて書きました。
おそらくこれと似た疑問として、病気や怪我で会社(仕事)を「辞めた」場合に、退職前と比較をして、社会保険料・税金の負担がどうなるのか…について知りたいという方もいるのではないかな…と想像しています。
そこで、病気やケガで退職をしたケースも、日を改めて記事を書きたいと思います。
その他、「こんなことも知りたい」「tomo さん、これってどうなの??」というご質問・リクエストがあれば、ご遠慮なくお聞かせください。
tomo と同じように病気やケガで、仕事を休まなくてはいけなくなったり、退職することになった方のために、これまでの人事経験と社会保険労務士の勉強をして得た知識を役立てたいと思って、tomo はこのブログを立ち上げました。
質問・相談、Welcomeですよ〜!!
それでは、今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またブログでお会いできることを楽しみにしています♪
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tomo
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