「障害年金は、年収が高いともらえないの!?」…いいえ、ご安心下さい。障害年金と所得制限の関係についてご説明します。(突然大病を患ったら… その20)
こんにちは。障害者で社労士タマゴの、tomoです。
障害年金について解説するなかで、ご質問頂いたことを先日記事にしました。
その質問に、更に追加してご質問を頂きました。
内容的に、恐らく同じく不安を持つ方もいらっしゃると思いましたので、更に記事にしてご説明していきますね。
今回のテーマは、「障害年金は、年収が高いともらえないの!?」です。
前回の記事で、障害年金は働いていても受給できることをお話しました。
ただ、もしかしたら、受給にはなにか制限があるんじゃないか…と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
というのも、これまで「突然大病を患ったら…」シリーズの記事中で解説してきた制度のなかには、所得が高いと制限を受けるものもあるからです。
きっと、この疑問を持たれる方は、tomo の記事をよく読んでくださっている方か、ご自身でもよく勉強されている方のどちらかですね!?
あ!そして何より、不安になるくらい相応の所得を得ている方…かもしれません(笑)
障害年金に関しては、年金の受給を受けながら仕事をして報酬を得ても、原則問題はありません。その報酬がどんなに高額であっても、高額な報酬を受けていることを理由に、障害年金の受給制限を受けることはありません。
ただし、注意が必要なケースは存在します。
この記事では、下記についてご説明をしていきます。
1) なぜ、障害年金は、所得制限を受けないのか
2) 障害年金をもらいながら仕事をする上で、注意が必要なケース
1) なぜ、障害年金は、所得制限を受けないのか
民間の保険会社の保険も、きちんと保険料を払い込んでさえいれば、万が一の時に保険金を受け取れますよね?その際に、「あなたは年収が高いから、給付金は満額お支払できません」…とは、言われませんよね。それと、同じ考え方です。
ただし、障害年金の所得制限については、一部例外があります。
というのも、障害年金は、被保険者が保険料を払ったことに対して、年金が発生する事由が生じた場合に年金という形で支払われます。
しかし、民間保険とは違い、保険料を払っていなくとも、一定の条件を満たしていれば、支給を受けられるケースがあるのです。
そこが民間の保険会社の保険との違いです。
そして。その例外に該当した場合のみ、所得制限がかかります。
保険料を払っていなくとも、障害年金が受けられるケースというのはどういったものでしょうか。
それが、以前の記事でご説明をした「20歳前傷病」で年金を受給するケースです。
そしてもう一つ、「特別障害給付金」が該当します。
また、特別障害給付金とは、無年金を救済する目的で作られた制度です。
この制度の背景には、昭和61年4月1日に施行された国民年金法の大改正があります。
「新法」と呼ばれる改正後の国民年金法により、全国民が国民年金制度の対象となりました。しかし「旧法」時代は、任意加入で良しとされていた層が存在し、新法制度下ではその方々は無年金となってしまいます。そのため、障害年金の対象から外れてしまうことを避ける救済目的でできたのが特別障害給付金です。
福祉的な措置として創設された制度であることから、障害基礎年金の20歳前傷病と同じく所得制限があります。
つまり20歳前傷病も、特別障害給付金も、どちらも福祉的な意味合いのある年金支給であるため、一定の所得以上を得ている人であれば、(もともと年金の保険料自体を払っていないのだから)福祉的な年金は減額もしくは支給停止しますよ、という趣旨なわけです。
逆に言うと、20歳前傷病もしくは特別障害給付金に該当する障害を持つ若年者や、会社員の障害を持つ被扶養配偶者(いわゆる専業主婦)で、そもそも所得制限がかかるほどの高額報酬(※)を得ることはあまり多いケースとは言えません。
※ 20歳前傷病・特別障害給付金ともに、
● 1/2額が支給停止となるのは、所得額およそ360万円。(扶養家族ゼロの場合)
● 全額が支給停止となるのは、所得額およそ462万円。(扶養家族ゼロの場合)
つまり、所得制限を受けるケースも非常に限られる上に、その対象者が所得制限を受けるだけの所得を得ること自体が極めて稀であると言えます。
2) 障害年金をもらいながら仕事をする上で、注意が必要なケース
では最後に、「障害年金をもらいながら仕事をする」場合に気をつけなければならないことに触れたいと思います。
上述の説明をお読み頂いた方は、「過去に国民年金・厚生年金保険の保険料を払った上で障害年金を受け取っているのなら、どんなに高額な給与・報酬を受けても、その所得を理由に障害年金が調整されたり支給停止になることは、ない」ということはご理解頂けたと思います。
ただし、一部の場合においては、働いて給与を受けることで、障害年金の減額や支給停止を受けるケースもあります。
ここで「え!? tomo さん!!話が違うじゃない!?」と思われた方。
落ち着いて、この後の説明に目をお通しください。
障害年金の減額や支給停止があるとしたら…。
それは高額な所得を理由にしたものではありません。
障害年金2級の障害認定を受けられる状態は、フルタイムでは仕事ができないくらいの重い障害状態です。
となると、仕事をしている状態での年金申請だと、障害年金不受給かよくても3級での支給になることが殆どだと思います。
ちなみに。
障害年金は、有期認定(期間は人によって異なる)と永久認定があります。
精神障害での年金受給の場合は、ほぼ有期認定と思って頂いて間違いないです。
身体障害での年金受給の場合は、どちらもありえます。
また現状の制度運用面で、身体に障害があること=仕事ができない(仕事に制限が必要)とはあまり解釈されていませんが、精神障害の場合は症状が落ち着いてきたら仕事ができる、つまり仕事をしている=障害状態にない(もしくは軽い)と解釈されるケースが多いです。
そのため、身体に障害を持つ方は基本的に障害年金を受けながら仕事をしていても(もちろん所得が高くても)大きな問題はありませんが、精神障害を持つ方の場合は、仕事をしながら年金受給を受けるには注意が必要です。
以上、長くなりましたが、「障害年金は、年収が高いともらえないの!?」という読者の方の疑問にお答えしました。
こちらの記事に対する追加質問も、
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明日はまた、パラリンピックシリーズの記事をUPしたいと思います。
リオ大会を目前に控えたいま、ロンドンパラリンピックでどんな取り組みが行われ、今後のパラリンピックに繋げたい、どんな成功があったのか…。
パラリンピック史上、過去最大の成功を収めたと言われるパラリンピックロンドン大会の責任者である統合ディレクターとして、ロンドンパラリンピックを成功に導いた立役者、クリス・ホームズ卿が東京に来日した際に、直接伺ったお話を中心に、記事にしたいと思います。
それでは、今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またブログでお会いできることを楽しみにしています♪
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tomo
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